試験の概要
JCOG2211 (RESCORE) 試験は有痛性脊椎転移に対する再照射において、通常照射と SBRT の疼痛緩和効果を比較する第Ⅲ相試験です。
背景的エビデンス
初回照射
- 骨転移の緩和照射において通常照射が標準治療です。疼痛奏効割合 61~62%、疼痛 CR 割合 23~24% です [1]。
- 疼痛奏効例においても、疼痛再燃までの期間は中央値 5~6か月 です [2]。
⇒ このような患者には再照射が必要です。 - 脊椎転移に対する初回の疼痛緩和照射において、通常照射に対する SBRT の優越性は不明確です [3]。
1. Radiother Oncol. 2018;126(3):547-57.
2. Radiother Oncol 52:101-9,1999.
3. Radiat Oncol. 2022;17(1):156.
再照射
- 初回照射に対して疼痛無効例、残存例、再燃例、いずれも再照射の適応です。また、いずれのシナリオでも再照射の疼痛奏効割合は同等です [4]。
- 再照射においても通常照射が標準治療です。疼痛奏効割合 28~32%、疼痛 CR 割合 7~8% です [5]。
⇒ 初回より成績不良であることが示唆されています。
4. IJROBP. 2004;59(2):528-37.
5. Lancet Oncol 2014;15:164–71.
対象
適格規準 | 定義・補足 |
MRI可能 | 薬剤での対応が可能な閉所恐怖症は可 |
組織学的に固形がん | セミノーマ、悪性リンパ腫、骨髄腫は除く |
脊椎転移は脊髄圧迫なし | 脊椎転移=頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎 Bilsky Grade 1c以下=脊椎転移で脊髄が偏移していない |
根治不能 | |
18歳以上 | |
PS 0-2(疼痛でPS 3は可) | |
1椎骨 or 連続2椎骨 | |
NRS ≥ 2 | 対象以外:疼痛なし or 試験対象よりNRS低い |
適切な鎮痛薬 | Pain Management Index ≥ 0 |
標的病変の治療歴 - 照射歴 ≤ 40 Gy EQD2 - 間隔 ≥ 12週 - SBRT × - 手術 × |
- α/β = 2 Gyで計算。S3以下では評価不要 - 前回最終照射日を day 0 として day 84 以降 |
プロトコール治療
試験デザイン
試験デザイン | |
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主要評価項目 | (JCOG 試験として初めて PRO を主要評価項目に採用) |
副次的評価項目 | 局所増悪割合、脊髄圧迫発生割合、 QOLスコア、OS、有害事象 |
予定登録患者数 | |
予定登録期間 |
登録の手順
リクルート対策のお願い
① 緩和照射の情報発信
薬物治療の STEP に関わらず放射線治療が考慮されます。
疼痛緩和照射普及のためのフライヤーを作成しております。
以下のページからダウンロードし、各科外来・関連病院・紹介元などにご配布ください。
フライヤーのダウンロードページ
② 標準治療の徹底
初回の緩和照射は通常照射が標準治療です。
推奨線量は 8 Gy/1回, 20-24 Gy/5-6回, 30 Gy/10回です。
③ 再照射の情報発信
初回照射に対して疼痛無効例、残存例、再燃例、いずれも再照射の適応です。
再照射の選択肢とその適応を患者さんにお伝えください。
再照射普及のためのフライヤーを作成しております。
以下のページからダウンロードし、患者さんにお渡しください。
フライヤーのダウンロードページ
④ 定期フォロー
適切な患者さんに、適切なタイミングで再照射を行うため、放射線治療医のフォローが必要です。
患者さんとの信頼関係構築にも重要です。
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