患者報告アウトカム(patient-reported outcome [PRO])とは、医療従事者による解釈を介さず、患者が自らの症状、機能状態、QOLなどを報告するものです。医療者は患者の症状や有害事象を過小評価する傾向があることが、複数の研究で指摘されています。例えば、過去の研究では、医療者が評価した有害事象の頻度は、患者自身の報告と比較して一貫して低いことが見出されました[1]。また、QOL調査票を用いた研究でも、進行がんに伴う症状の強さを医療者が過小評価する傾向が示されています[2]。このような評価のズレは、適切な症状管理の遅れにつながる可能性があるため、PROの活用が重要です。
表. 患者と医療者の症状評価を比較した研究
1. N Engl J Med. 2010:362:865.
2. Health Qual Life Outcomes. 2010;8:104.