骨転移に対する緩和照射において単回照射(8 Gy)の有効性が知られています。単回照射は疼痛奏効期間においても30 Gy/10回などの分割照射と同等であることが複数のランダム化比較試験で示されており、長期の生命予後が期待できる患者さんにも適応可能とされています。また、癌種により緩和照射の疼痛奏効割合が異なることが報告されていますが、単回照射と分割照射で疼痛奏効割合が同等であることは癌種によらず同様とされています。このため、2022年に欧州放射線腫瘍学会が発表したガイドラインでは脊椎の術後照射を除く全ての骨転移緩和照射において単回照射を強く推奨しています。単回照射を上手に活用することで、放射線治療設備保有施設・非保有施設間の地域連携や骨転移患者さんの就労支援に貢献できることも期待されます。
表. 欧州放射線腫瘍学会による骨転移に対する推奨線量分割
1. Radiother Oncol. 2022:173:197.
2. Radiother Oncol. 2020;173:240.